Shapewearの販売価格は、仕入れ値に一定の倍率を掛けるだけでは決められません。日本で販売する場合は、EXW・FOB価格を輸入後の実質原価に置き換え、消費税、決済手数料、物流費、返品、値引き、広告費まで含めて採算を確認する必要があります。
基本式は次のとおりです。
販売価格(税抜) − 変動費 − 顧客獲得費 = 1個あたりの貢献利益
ここでいう変動費には、商品代、輸入関連費、国内配送、フルフィルメント、決済・モール手数料、返品や不良の想定コストを含めます。DTC、自社EC、マーケットプレイス、卸売では費用構造が異なるため、販売チャネルごとに価格と目標粗利を設計することが重要です。
見積もりを依頼する前に、少なくとも商品タイプ、目標数量、サイズ展開、素材または参考商品、パッケージ、販売国・地域、納品希望時期を整理しておくと、見積価格を比較しやすくなります。
Shapewearの販売価格を計算するためのクイック回答
実務では、次の順序で計算します。
- EXWまたはFOB価格を確認する
- 国際輸送、保険、通関、関税、輸入時の税金を加える
- 国内倉庫までの入庫費用と、1注文あたりの出荷費用を加える
- 返品、不良、検品、廃棄、値引きの平均負担を見込む
- 決済手数料、マーケットプレイス手数料、広告費をチャネル別に反映する
- 目標利益から逆算して販売価格を設定する
商品1点あたりの完全な変動原価は、次のように表せます。
完全変動原価 = 商品価格 + 輸入関連費 + 国内物流費 + フルフィルメント費 + 決済・販売手数料 + 返品・不良費 + 値引き負担
DTCの価格を逆算する場合は、広告費まで含めて次の式を使います。
必要販売価格(税抜) = 固定費を除く1個あたり変動費 ÷(1 − 目標貢献利益率)
ただし、広告費を売上の割合で管理する場合は、広告費率も分母に含めます。
必要販売価格(税抜) = 広告費を除く変動費 ÷(1 − 目標利益率 − 広告費率)
この計算は一般的な考え方です。実際の関税分類、輸入時の税務処理、配送契約、決済条件、返品負担はプロジェクトごとに確認してください。
EXW・FOB価格を完全なLanded Costに置き換える
見積書にあるEXWやFOBの単価は、販売価格を決めるための最終原価ではありません。
- EXW:工場など指定場所での引き渡し価格。引き取り後の輸送、輸出関連手配、国際輸送などを買い手側で負担するケースが多い
- FOB:指定港での船積みまでを含む条件として使われることが多い。ただし、見積書上の範囲や輸送手段は必ず確認が必要
Landed Costは、商品が販売可能な状態で国内の指定拠点に入るまでの総コストです。簡略化すると、次の式になります。
Landed Cost = 商品代 + 輸出側費用 + 国際輸送費 + 保険 + 通関・港湾・取扱費 + 関税 + 輸入関連税 + 国内配送費 + 入庫・検品費
複数の商品を混載する場合は、国際輸送費や通関費を商品単価へ配賦します。単純に数量で割る方法もありますが、重量、容積、SKU数、箱数などで費用が変わる契約では、配賦方法を統一しないと商品の採算を比較できません。
見積依頼前にそろえる入力項目
| 項目 | 具体的に決める内容 | 見積書で確認すること |
|---|---|---|
| 商品タイプ | ハイウエスト、ボディスーツ、補整ショーツなど | 仕様、用途、着用範囲 |
| 数量 | 初回数量、追加発注の想定 | 数量別単価、最低発注数量 |
| サイズ | 日本向けサイズ表、展開サイズ | サイズごとの数量配分 |
| 色 | 基本色、シーズン色、色数 | 色ごとの最低数量と追加費用 |
| 素材・仕様 | 生地、パワー感、縫製、補整レベル | 素材構成、試作品との一致 |
| 包装 | 個包装、台紙、箱、ラベル | 包装単価、梱包仕様 |
| 物流 | 納品先、希望時期、輸送方法 | 価格条件、出荷単位、納期前提 |
| 商流 | 自社EC、モール、卸売 | チャネル別の必要原価 |
MOQや色・サイズの配分を検討する際は、ShapewearのMOQと色・サイズ計画を整理するガイドも参考になります。
関税、運賃、包装、フルフィルメントを反映する
輸入商品の原価計算で見落とされやすいのが、商品単価以外の物流費です。特にShapewearはサイズや色が多くなりやすく、在庫をSKU単位で持つため、入庫・保管・ピッキング費用が販売数量に比例しないことがあります。
次の費用を分けて管理しましょう。
輸入前後の費用
- 国際輸送費
- 貨物保険
- 輸出側の集荷・取扱費
- 通関手数料
- 港湾・空港関連費
- 関税
- 輸入時の消費税など
- 国内拠点までの配送費
関税率や課税価格は、商品の素材、構造、用途、原産地、輸送条件などによって確認が必要です。商品名だけで税率を決めず、通関業者や税務・貿易の専門家と最新の公式情報を確認してください。
国内販売で発生する費用
- 倉庫への入庫費
- 検品・タグ付け費
- 保管費
- ピッキング・梱包費
- 顧客への送料
- 同梱物や納品書の費用
- 返品受け入れ、再検品、再梱包費
- 再販できない商品の廃棄・値下げ負担
送料無料にする場合も、送料がなくなるわけではありません。商品価格に含めるのか、一定金額以上の注文にだけ適用するのか、バンドルで吸収するのかを決めて、注文単位で計算します。
消費税、決済手数料、マーケットプレイス費用を差し引く
販売価格を税込で表示していても、利益計算は税抜売上を基準にした方が管理しやすくなります。たとえば、税込価格から税抜売上を算出し、その税抜売上から商品・物流・手数料を差し引きます。
一方、輸入時に支払う税金や、仕入税額控除の扱いは、事業者の課税関係や会計処理によって異なります。輸入消費税をそのまま商品原価に含めるか、税務上別管理するかは、税理士または会計担当者に確認してください。ここは一般的な価格設計の説明であり、税務 advice ではありません。
手数料は、次のように分けると漏れを防げます。
- クレジットカード、コンビニ、後払いなどの決済手数料
- ECプラットフォームの利用料
- マーケットプレイスの販売手数料
- ポイント、クーポン、キャンペーンの負担
- アフィリエイトや販売パートナーへの手数料
- 注文単位の固定手数料
販売価格が5,000円でも、値引き後の売上、税込・税抜の扱い、手数料の課税方式が異なれば、実際の入金額は変わります。価格表では、定価、実売価格、税抜売上、入金額を分けて記録しましょう。
返品、値引き、廃棄を率として組み込む
Shapewearは着用感、締め付け、サイズ感に関する期待差が生じやすい商品です。返品や交換が発生する可能性をゼロとして価格を決めると、販売量が増えたときに利益が想定より大きく下がることがあります。
期待返品コストは、次の式で見積もれます。
返品負担率 = 返品率 × 返品1件あたりの純負担額 ÷ 平均注文売上
返品1件あたりの純負担額には、次を含めます。
- 往復または返送送料の負担
- 返品受付・検品費
- 再梱包費
- 再販できない商品の原価
- 返金に伴う決済手数料の扱い
- 交換品を発送する費用
値引きも同様に、キャンペーン時だけの例外ではなく、年間平均で管理します。
実現売価 = 定価 ×(1 − 平均値引率)
さらに、検品不合格、汚れ、包装破損、販売期限を過ぎた在庫なども、一定の廃棄・値下げ率として予算化します。実績データがない段階では、複数の仮説を置いて感度分析を行い、発売後に実績値へ更新します。
DTCの粗利、卸売の粗利、販売店の上乗せを区別する
同じ商品でも、DTCと卸売では必要な価格が違います。
| 販売形態 | 売上の基準 | 主な費用 | 価格設計の焦点 |
|---|---|---|---|
| 自社EC・DTC | 顧客の実売価格 | 広告、決済、出荷、返品、CS | 広告費込みの貢献利益 |
| マーケットプレイス | モール上の販売価格 | 販売手数料、広告、物流、返品 | 手数料控除後の入金額 |
| 卸売 | 卸先への販売価格 | 営業、展示、物流、掛売り関連費 | 卸売価格での利益 |
| 小売店販売 | 店頭・ECの消費者価格 | 店舗運営、在庫、販売員、販促 | 店舗側の粗利と回転率 |
「粗利率」と「上乗せ率」は同じではありません。
粗利率 =(販売価格 − 原価)÷ 販売価格 上乗せ率 =(販売価格 − 原価)÷ 原価
たとえば、原価に50%を上乗せしても、販売価格に対する粗利率は50%ではありません。卸先が必要とする粗利、販売店の希望小売価格、セール時の値下げ余地を逆算して、卸売価格と希望小売価格の両方を設計します。
卸売では、さらに次の条件を確認します。
- 最低発注数量
- ケース入数
- 納品先と送料負担
- 支払条件
- 返品・交換条件
- 販促協賛や値引き負担
- 価格拘束や販売チャネルの制限
- サイズ・色ごとの納品比率
Good・Better・Bestとセット商品の価格構造を作る
単一価格だけでなく、商品ライン全体の価格構造を作ると、顧客の選択肢と在庫計画を両立しやすくなります。
Good・Better・Bestの設計例
- Good:日常使いを重視した基本モデル
- Better:素材、補整設計、着用シーンを拡張した中位モデル
- Best:高機能仕様、セット構成、プレミアム包装などを含む上位モデル
各グレードは、単に装飾を増やすのではなく、顧客が価格差を理解できる差分を設定します。たとえば、着用時間、服との相性、サイズ対応、洗濯性、包装、セット内容などです。ただし、具体的な性能や表示をうたう場合は、試験結果、素材情報、表示根拠をプロジェクトごとに確認してください。
バンドルの計算
2枚セット、上下セット、洗い替えセットなどは、客単価を上げる一方で、値引き率と送料負担を増やすことがあります。
バンドル貢献利益 = バンドル実売価格 − 商品原価合計 − 梱包費 − 出荷費 − 手数料 − 返品負担
単品価格の合計から何%引くかではなく、セットで変わる送料、包装、返品、広告効率まで反映します。サイズ違い・色違いの組み合わせを許可する場合は、倉庫のピッキングミスや交換処理も確認項目です。
顧客獲得費と損益分岐ROASを考える
DTCでは、粗利がプラスでも広告費を含めると赤字になることがあります。広告費を価格設計から外さないために、1注文あたりの許容CAC(顧客獲得単価)を計算します。
許容CAC = 広告費を除く注文貢献利益 − 目標利益
広告費を売上で管理するROASは、一般に次の式で表します。
ROAS = 広告経由売上 ÷ 広告費
ただし、売上全体を広告費で割ったROASだけでは、利益は判断できません。損益分岐ROASは、広告費を除く注文貢献利益率を使って概算できます。
損益分岐ROAS = 1 ÷ 広告費控除前の注文貢献利益率
たとえば広告費を除く貢献利益率が0.4なら、広告費を含めて利益ゼロになる境界は、概算で2.5倍です。ただし、返品計上の時期、初回購入とリピート購入の扱い、固定費、消費税の処理によって結果は変わります。
新規顧客の初回注文だけで採算を取るのか、リピート購入を含む顧客生涯価値で回収するのかも、事前に決めておきます。卸売では広告費の代わりに、営業費、展示会費、サンプル費、取引先向け販促費を含めて考えます。
数量、返品率、広告費の感度分析を作る
販売価格を1つの前提だけで決めるのは危険です。最低でも、数量、返品率、平均値引率、広告費率、為替や輸送費の変動を変えた3つのシナリオを作ります。
| シナリオ | 数量 | 返品率 | 平均値引き | 広告費 | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基準 | 計画数量 | 計画値 | 計画値 | 計画値 | 通常の採算を確認 |
| 悪化 | 少なめ | 高め | 大きめ | 高め | 赤字化する条件を確認 |
| 改善 | 多め | 低め | 小さめ | 効率化後 | 追加発注や投資余地を確認 |
数量が増えると、商品単価や国際輸送の単位コストが下がる可能性があります。しかし、色・サイズの増加による在庫分散、保管費、売れ残りリスクも大きくなります。したがって、数量別見積では単価だけでなく、総投資額、SKU別配分、在庫消化期間、追加発注条件を並べて比較します。
購買判断のゲート
次の条件を満たすまで、正式発注を保留する方法も有効です。
- 仕様書とサイズ表が確定している
- サンプルと量産仕様の差分が記録されている
- EXW・FOBなどの価格条件と費用範囲が明確
- 数量、色、サイズ、包装の最低条件が確認済み
- Landed Costの配賦方法が決まっている
- DTCと卸売それぞれの最低販売価格が計算済み
- 返品・値引き・広告費を含む悪化シナリオが許容範囲内
- 表示、税務、通関、契約条件を担当者が確認している
サプライヤーから受け取るべき回答は、単価だけではありません。仕様別の価格差、金型や版下などの一時費用、サンプルと量産の関係、梱包単位、出荷条件、見積の有効期間、価格に含まれない費用を文書で確認します。
製造原価をさらに分解したい場合は、Shapewearの製造コストを左右する要因で、生地、構造、縫製、仕様、数量が原価に与える影響を整理できます。
Shapewearの販売価格と利益に関するFAQ
Shapewearの販売価格は原価の何倍にすればよいですか?
一律の倍率では判断できません。DTCか卸売か、広告費を使うか、返品をどこまで負担するか、送料を無料にするかで必要価格が変わります。まず税抜売上から変動費を差し引き、目標貢献利益が残るかを確認してください。
輸入時の消費税は商品原価に含めますか?
会計上の扱いは、事業者の課税関係や処理方針によって異なります。価格シミュレーションでは現金支出として含めたケースと、税務上の処理を反映したケースを分けて確認し、税理士や会計担当者に相談してください。
卸売価格はどのように決めればよいですか?
卸売価格から、商品原価、輸入・国内物流費、営業関連費、返品や販促負担を差し引いて利益を確認します。そのうえで、卸先が希望する粗利と、最終販売価格に無理がないかを同時に検証します。卸売価格だけを低くして取引量を優先すると、追加発注や販促時に赤字になり得ます。
返品率の実績がない場合はどう計算しますか?
最初から1つの数字に固定せず、低・基準・高の複数ケースを作ります。発売後は返品理由を、サイズ、着用感、商品不良、イメージ差、配送などに分類し、率だけでなく1件あたりの処理費用も更新します。
見積書で特に確認すべき項目は何ですか?
商品単価、価格条件、最低発注数量、色・サイズ別の条件、包装、検品、サンプル、出荷単位、納品条件、価格に含まれない費用を確認します。また、素材構成、サイズ許容差、仕様書、ラベル表示などが見積対象と一致しているかも重要です。
S-SHAPERに見積もりを依頼する場合、何を準備すればよいですか?
商品タイプ、販売対象市場、数量、サイズ展開、色、素材または参考商品、包装、納品希望時期をまとめてください。S-SHAPERはShapewearのOEM、ODM、プライベートブランド案件について、商品開発から量産まで対応しており、公開されている生産開始目安は1案件500点です。最終的なモデル、色、サイズ、包装、商流上の割り当ては見積もりで確定するため、これらの前提を整理して共有すると比較可能な提案を受けやすくなります。
価格計算をEC運営や販売体制まで広げて検討する場合は、EC向けのOEM・商品開発ソリューションも関連情報として確認できます。
次のステップとして、商品タイプ、販売市場、予定数量、サイズ・色展開、素材または参考画像、包装仕様、納品希望時期を1枚にまとめてください。その情報をもとに、Landed Cost、チャネル別の販売価格、返品や広告費を含む損益分岐点を確認できる状態にしておくと、見積もりを受け取った後の判断がスムーズになります。





